育児:ママ友とはその場限りのアバンチュールのテイで
もくじ
おせっかいな割に気分よく過ごせる愛のトリセツ第13日目
今日は水曜日。子育てしているあなたに向けてのメッセージ。
ママ友とはその場限りのアバンチュールのテイで
30年前、初めての子どもを出産した私は、雑誌「わたしの赤ちゃん」や分厚い育児書を何冊も読み、自分の子どもを「しっかり育てる」ために気合満々でした。
どの本だったか忘れてしまったけれど、「生後1か月を過ぎたら、少しずつお日さまにあてましょう」と書いてあって、足だけ・腕だけなど、徐々に外気に慣らしていきました。
ぐにゃぐにゃの赤ちゃん時代は、公園で遊ばせるというより、家で赤ちゃんとふたりきりでいる自分が心細くて、息子をベビーカーに乗せて、シーンとした家から逃亡するように外に出ていました。
明るい陽だまりのある公園に行くと、2-3歳の元気な男の子を遊ばせている先輩ママや、ベビーカーを押す同じくらいの月齢のママと、他愛もない話をすることで、なんとなく安心したことを覚えています。
育児書や育児雑誌にないことが、子育ての中では起こります。
そんな時、ベビーカー時代の息子を連れた私は、子どもの楽しみのためというより、私の安心のために公園に出かけていたように思います。
「うちの子、おかしいんじゃないか?」というこじらせママだった新米時代
息子が寝返りするようになったのは生後2か月半でした。妊娠中から隅々まで何度も読んだ私の愛読書である育児書に載っていた内容とあまりにも違うため、不安が広がります。
「うちの子はおかしいんじゃいか?」
これが初めての「うちの子はおかしいんじゃいか?」ではありません。
息子は異常にミルクを飲むのが遅く、生後1か月の間も、50cc飲むのも1時間くらいかかっていました。私はきっちり3時間ごと飲ませようと必死でした。
「死なせるわけにはいかない」
「私が産んだ子をちゃんと育てなければいけない」
そんな日々でしたから、楽しいというより必死でした。
寝返りが異様に早すぎたこの日、診せに行くなら小児科なのか?整形外科なのか?とホンキで悩みました。
でも、公園の先輩ママたちは「大丈夫よー!将来ワンパク坊主になって、動き回って追っかけるの大変になるわよ」と、育児書より安心する偉大な言葉を私にくれました。
やがてハイハイが始まり、これがものすごいスピードがあり、伝い歩きが始まるころにはよじ登りがものすごくなりました。
1歳過ぎて歩き始めても、高バイの方が断然速いいため、1歳3ヶ月過ぎてもなかなか二足歩行をしないでいる息子に、また「この子はおかしいんじゃいか?」と、息子が何をしても不安で仕方ありませんでした。
子どもの社交場で肩身が狭い私
「ワンパク坊主になるよ」と予言された通り、相当のワンパク悪ガキ坊主に成長した1歳後半からの息子は、公園でもギャングのように遊んでいました。
- お友だちの使っているシャベルは無言で奪い取る
- 砂場の砂をバケツで運び、すべり台からばらまく
- ブランコに乗っている子を引っ張り下ろす
近所のちょっとお兄ちゃんが乗っていた補助付き自転車に目が釘付けになり、じさま(私の父)にホームセンターで買ってもらい、ペダルを回転させるのではなくテコのように漕ぎ、公園内を暴走する1歳8か月。
当時、ふたりめを妊娠中の私は、追いかけまくってしょっちゅうお腹が張っていました。
つまり、公園で確かに子どもを遊ばせてはいましたが、ママ友とゆっくり話している時間は、正直まったくありません。
しかも、遊び方がワイルドかつ迷惑行為が甚だしいため、息子には仲良くできるお友だちがあんまりいませんでした。
子どものよろこび、ママの喜び
子どもは公園で「自由に」遊びたい。息子は周りに人がいなければ、とっても集中して遊びます。
実は、保健師さんとの〇歳児健診ではいつも
「この子はちょっと多動児かもしれません」
「この子はもしかすると自閉症かもしれません」
など、訴えていました。たぶん半分涙目だったと思います。
でも保健師さんは、「うーん、ちょっとそれは違うと思いますよ」「とにかく元気がいいことは間違いありません」と笑って言います。
私は、子どもが元気のいいことが、不安になっていました。
育児書通りじゃないことが、とっても不安になっていました。
大人同士で話したいという罠
公園はメンバーが変わります。
いつも午前中遊んでいた子たちが、幼稚園に行くようになって、その代わり今まで見かけなかったベビーカーの赤ちゃんがいたりします。ついこの間までの私のような。
そして、子どもが大きくなるにつれ、男の子のママ・女の子のママというふうに、小さな立ち話の輪があちこちにできます。
女の子のママは、同じ場所でずっとママ同士が話していられます。
男の子のママは、脱走兵となった我が子を追っかけたり、戦いごっこがマジモンになってしまった子の仲裁に入ったり、なかなか熱い展開になります。
女の子同士遊ばせているママは「貸して、でしょ」「いいよ、って貸してあげてね」「えらいね」など、育児書通りな感じです。
男の子同士遊ばせているママは「貸しなさい!」「さっき貸してもらったでしょ!」「〇〇くんのおもちゃ、投げない!!」など、動物園のようです。
大人同士で話す、これを公園でママ友に求めると、正直男の子の母にはそんなヒマはありません。
娘を生んでわかったのですが、女の子はあんまり行動範囲が広くない。公園に遊びに行って砂場に着地したら、お昼に帰るまで砂場に居ることができます。
息子は、瞬間移動するので目が離せません。さっきブランコに乗っていたと思って、ちょっとママ友と話しているうちに、すべり台のてっぺんにいたりします。2歳頃から特に瞬間移動の技を発動していたように思います。
と、同時に補助付き自転車は、つま先でペダルを回転するという技を身につけたので、幼稚園のチャリンコ暴走族のお兄ちゃんたちに仲間入りです。
約束ごとを作らない
子どもたちが小さい頃、子どもたちとママ友とそれなりのお付き合いができたのは、約束ごとを作らないというひとつの約束でした。
- 特定の仲良しをつくらない
- 公園にいた人と遊ぶ
そうして、ママ友は変化していくものを受け容れました。
- 引越し
- 幼稚園がべつべつ
- 子どもの性別が違う
- 習いごと
- 子ども同士の性格
- 遊びたいものの違い
- 好きなものの違い
- 相性
どれも流動的なものです
育児の最中のママ友とは、適度な距離感が必要だなと感じたのは、子どもたちが幼稚園に入る頃でした。
本当に、子どもを育て始めるまで、出逢うことのないような人たちがたくさんいます。
「これ絶対、独身だったら知り合ってもそれ以降はないわ」
「お上品過ぎてついていけない」
「ちょっと、身の周りを構わなさすぎじゃない?」
「話が合わないー」
知らず知らずのうちにジャッジが始まります。
心は警鐘を鳴らし、頭は選別を始めます。
ここは幼稚園。私が楽しむ場ではない。子どもが健やかに学びを深め、情緒を育てる場。
ハッと冷静になり、またしても適度な距離感を大切にすることにしました。
アバンチュールの距離感を当たり前にする
旅先や、バー、海辺やゲレンデ。
「ごめん、急に声かけて」
「可愛いから気になっちゃって」
「どこから来たの?」
などと声をかけられたことはありますか?
ちょっと感じがいい人だったら
「うん、東京から」など、当たり障りなく答えたりすることってありませんか。
タイプじゃなかったら、「えぇ、ニューヨークからです」とか全然ウソ言っちゃってもいいんですけど。
「いつから来てるの?」→「昨日から」
「ここ初めて?」→「ううん、2回目かな」
「何人で来たの?」→「友だちとふたり」
「シゴトなにしてるの?」→「OL」
答えて差し支えないことなら、感じの良い人だったら答えられます。
これ、公園デビューに近いものがあるんですよ。
「ごめんなさい、急に声かけて」
「赤ちゃんとっても可愛くて」
「お近くなんですか?」→「あ、あそこの角のマンションです」
タイプじゃなかったら、「えぇ、まぁ、ここから10分くらいのとこです」とか濁しちゃいますけど。
「いつ頃から住んでるの?」→「半年前くらいから」
「ここ初めて?」→「ううん、2回目かな」
「お子さん、ひとり?」→「いえ、上に幼稚園の子がひとりいます」
「シゴトしてるの?」→「あ、週に2日パートしてます」
会って即聞く、というよりは、お互いの子どもがなんとなく一緒に遊んでいたりしたら声をかけてみる感じかな。全然知らないママ同士なのに、たまたまその場に居合わせて「温かく見守るお母さんたちの図」みたいになること、ありませんか?
そういうとき、アバンチュールのテイがイイ感じなんです。
そして、次の3つがアバンチュールと同じなんです。
- どんなに楽しくても、深追いしない。
- また会えたらいいな。
- また会えたらお話しましょうね、のスタンス。
次に会った時、運命を感じちゃうかもしれませんね(笑)。
- また会いましたね
- 気が合うのかも
- いつも何時頃、こちらに?
改めて、今日のメッセージ
ママ友とはその場限りのアバンチュールのテイで
まぁでも、ママ友っていうものは変化していくもの。
- ベビーカー時代
- 公園遊び時代
- 幼稚園時代
- 小学校時代
- 中学校時代
どんどん変わりますよ。
そして子どもがそこを卒業していくたびに、疎遠になる人と新しく知り合う人が入れ替わっていきます。
それが自然に流れていくのがママ友です。
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